滋賀県の湖東地域は、室町時代より麻織物を産する地域として知られています。特に江戸時代には、越後縮や奈良晒とならび称されるほどの良質な麻織物「高宮布」(現在の近江上布)の産地としてその地位を築きました。さらに、彦根藩は高宮布を保護し、将軍家への献上品としていました。現在は伝統技法の良さを守りながらも、新しい晒(漂白)、染色、仕上げ技術を取り入れ、さらに質の高いデザイン性や感性を備え、その時代を代表する上質な麻織物を発信し続けています。
商標『近江の麻』 商標登録 5134569号

指定商品・役務 ▷滋賀県で生産された麻織物など,滋賀県で生産された麻織物を用いて滋賀県で生産されたハンカチ・敷布・ランチョンマットなど
地域団体商標 「近江の麻」「近江ちぢみ」権利者 管理団体
湖東繊維工業協同組合・滋賀県麻織物工業協同組合
製造工程
近江の麻は、様々な工程を経て製品になります。ここでは代表的な製造工程についてご紹介します。
先染め、糸加工

琵琶湖に注ぎ込む澄んだ水と最高の環境で染める麻は、他の追随をゆるさない仕上がりとなります。
糊付け加工
▽コンニャク加工

健康食品にも使用されている蒟蒻芋が原料で、水に溶解して糊状にし、各種糸にコーティングを施した一本糊付加工で、歴史的には70~80年前から行われてきた加工です。主に麻糸に加工を施し、古くから着尺地、縮夏座布団、寝具等に使用されています。
コンニャク加工糸は、糸に光沢と程よいシャリ感、清涼感を与え夏用素材に最高かつ最適の加工といえます。天然素材を使用していますので肌に優しく、環境にも優しい加工です。
最近は、ニット製品にも使用されるようになり、従来の加工では出来得なかった、先染糸にも対応出来、濃色の粉が落ちる問題も解消し、又後染糸を使用しても粉落ちの心配がなくなりました。
▽F加工
F加工は、溶解性一本糊付加工で、古くより麻糸のタテ糸に施され、織物の製織性を高める為に使用されています。最近は、各種素材(生成・先染糸)に利用されています。糊材は、糊抜き可能なPVAを使用しています。
製織
琵琶湖の恩恵を受けて織られる麻は、最高の織物となります。織物とは、たて糸とよこ糸が組み合わされて、出来た布地の事です。近江の麻織物は、服地(メンズ・レディース)、帽子、バッグ、寝装品など幅広く展開しております。
織りの製造工程は、まず 糸割り と呼ばれる、たて糸を必要本数準備する作業から始まります。次に、たて糸を繊機(織物を織る機械)に乗せるために巻き上げる 整経(せんけい) : たて糸準備 という作業を行います。そして、巻き上げたたて糸を織機に乗せてよこ糸を織り込みます。
整理加工

生機(反物)を、用途に応じた生地にする工程にはいります。
整理加工(P下・晒加工、風合仕上加工、各種機能性・特殊加工など)された生地は、検反(生地検査)包装・梱包され出荷のはこびとなります。
整理加工により、近江の麻ならではの風合いに仕上がります。